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村上春樹風に四季の観劇話をするスレ

1 :名無しさん@花束いっぱい。:03/05/22 21:53 ID:2d7+Ki4u
CATSの公演で帰りが遅い日は、ゆっくり夕飯を作った。
きつね色になるまで炒めたニンニクスライスをたっぷり入れたペペロンチーノと、
サーモンサラダが贔屓の俳優の好物だった。
ペペロンチーノを食べ、よく冷えたビールを飲みながら、僕はよくテレビの野球中継を観た。
雨の日は赤ワインを飲みながらカウント・ベイシーやデューク・エイセスのLPを聴いた。
ほどよく酔いが回ると、自分の将来について考えることもあった。
そしてある日、CATSは僕のもとを去っていった。
もう3ヶ月以上も前の話だ。
もうあの俳優は帰ってきやしないんだ。僕はひとりぼっちだ──好むにせよ好まざるに
せよ──、それが事実なのだ。
やれやれ、ネタスレが育ちにくい四季板でこんな事をやらかそうなんて、
本当にばかげている。
しかし、この世に本当にばかげていないことなんて果たしてあるのだろうか。
とにかく僕はひどく疲れていた。そしてひどく混乱していた。

2 :名無しさん@花束いっぱい。:03/05/22 21:57 ID:2d7+Ki4u
あの俳優と別れて3回の終戦記念日を迎え、3回の除夜の鐘を聞き
家の軒先に巣を構えていた燕が3回の長い旅に出てまた帰ってきた。
3年と言う歳月が一般的に長いのか短いのか僕には解らない。
ただ僕にとって、3年の月日は口臭を気にするオフィス・レディーの
昼食後の歯磨きのようにとても重要で、同様にとても空虚だった。

別れの日から丁度1200日が経った日、僕は初めて違う女の子とデートをした。
映画を見て昔観劇帰りによく行ったショットバーでアレキサンダーを飲み、
お決まりの行事のように僕の家で女の子と寝た。
口元の綺麗な女の子だった。
女の子とキスした瞬間に僕は贔屓の俳優のことを思いだした。
匂い、体温、しぐさ、すべて違う女の子に戸惑った。
その後のシャワーを浴びてる時に不意に涙が出た。まるで3年間の空白を
埋めるかのような、 とてつもなく激しくそして静かな涙だった。

3 :名無しさん@花束いっぱい。:03/05/22 21:59 ID:2d7+Ki4u
「あなたはいい人なんだけれど」彼女は冷たい声で言った。
まるで南氷洋に浮かぶ氷の下で白亜紀からずっと凍えていたかのような、
寒々しい冷たい声だった。
「今の私にとってあなたは何の存在意義もないの。<無>なの。
ねぇ世界中でこれだけ空虚な関係ってあるかしら。一緒にいて全く
お互いを高めあう事が出来ないのよ」
確かにその通りだった。僕と彼女は既に、もうとり返しがつかないほど
ねじれ、ひねくり返った関係にあった。
「ねじれの位置」彼女は言った。
「中学の幾何で習ったわ。あなたと私は、つまりねじれの位置にあるのよ」

観劇生活にとりつかれ、引き裂かれた男が―――たとえ自分で別れを
予感していたとしても――― 少なくとも3日間は酒に浸かるというのは、
この世界での揺るぎ無い定説だった。
それは、高い山へ登れば気温が下がるとか、地震は地殻の変動によって起こるとか
いうのと同じ、自然の摂理だった。
そして僕はもちろんその自然の摂理に従ったし、あえてその摂理に反しようとも
思わなかった。

4 :山崎渉:03/05/28 14:21 ID:ucD8B5FJ
     ∧_∧
ピュ.ー (  ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎                      山崎渉

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